ジャーナリズム×人材育成

「良い記事が書ける能力とは」。記者の人材開発について研究しています。

転職して「スキルを失う怖さ」を打ち消してくれた瞬間

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◆期待より不安が大きかった転職◆

2013年に転職してからは、公私ともにほとんどの環境が変わりました。暮らす場所も、人間関係も、職場もほぼ全部です。まさにアイデンティティの一つにもなっていた記者生活を離れたことは、大きな大きな転機となりました。

 

新しい環境に身を置いたとき、「新しい能力を身につける期待」はあるのですが、それよりも「培ってきたものを失う怖さ」が予想以上に大きいことに気が付きました。時に、人と対話したり、文章を書いたりする力が落ちているのではと、不安になることがあります。

 

そういうなか、39歳まで現役を続けた「鉄人Jリーガー」に取材させてもらう機会がありました。心に決めていたのは「なぜ39歳まで現役でいられたのか」をとことん聞き出そうということでした。

 

◆Jリーガーに学ぶ「キャリアサバイバル」◆

その選手は、長く現役でい続けるには「チームに合わせるプレーをすること」と語ってくれました。ころころと監督が変わるプロの世界で渡り歩くには、チームのなかで自分を生かす術を見出すことが重要だといいます。外国人監督が就任すると、その監督の言語を習得することすらいとわないといった徹底ぶりだったそうです。

 

僕はおこがましくも、自分の人生を重ね合わせるように、「今まで培ってきたプレースタイルを捨てることに怖さはないのですか」と聞きました。すると、「いや、捨てるということではないです。どちらかというと、『積み重ねる』というイメージです。今までのスタイルがあって、さらに引き出しを増やしていくということですかね」と答えてくれました。

 

この「積み重ねる」という言葉が、転職をして間もない僕にとって、大きな活力を与えてくれました。 

 

「自分のスタイルに固執することは、かえって自分の新たな可能性を狭めていることにつながっている」。そういう哲学を持つその選手は、今、指導者となり、教え子にはあえて不本意なこともさせ、「殻を破ること」を経験してもらうようにしているそうです。

 

まさに、これは「キャリア・サバイバル」の考え方だと思いました。職業人生のなかでうまく生き抜いていく。変化を前向きに捉えることの重要性を教えてもらいました。

 

◆前向きになって気付くこと◆

そうやって変化を受け入れながら仕事をしていると、新しい気付きが生まれました。例えば、僕は「飛び込み仕事に強い」ことを転職して初めて知りました。記者時代、日々、いつ発生するかわからない事件に対応していると、振られた事件をすぐに処理するという習慣が身についていました。

 

だから、雑務などを振られても、即座にこなす癖がついており、上司からは「仕事速いな」と一定の評価を得ることができました。やっている仕事内容は全然違うけれども、「結構、前の仕事のスキルが使えるな」と、引き出しが増える手ごたえを感じた瞬間がありました。

 

 

過去の経験にとらわれないよう、いったん学習したことを、意識的に忘れて、学び直しをすることを「アンラーニング」というそうです。日本語では「学習棄却」と訳されるそうですが、「捨てる」というニュアンスが強くて、個人的にはややネガティブな印象を持ってしまいます。

 

もし、鉄人Jリーガーのような哲学を適用するならば、「アップデートラーニング」とか「パイルアップラーニング」という呼称で、「学習更新」「積み重ね学習」みたいな感じの日本語にすると、もっとすっと受け入れられるのになぁと思ったり。

 

言葉にすら抵抗を持ってしまっている時点で、僕はもしかして「アンラーニング」できていない?のかもしれませんけどね。

 

過去を否定せずとも、変わることをもっと前向きに捉えたいと思います。

 

 

お元気で。