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ジャーナリズム×人材育成

「良い記事が書ける能力とは」。記者の人材開発について研究しています。

文章を書くためのマインドセット

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◆文章と向き合って気付いたこと◆

時々、「文章をうまく書けないんですよ~」という声を聞きます。文章を書いたことがない人はほぼいないのに、うまく書けないのはなぜでしょうか。おそらく文章そのものの書き方を習ったり、試行錯誤して書きまくったりした機会があまりなかったからだと思います。

 

私は名文家ではありませんし、もともと幼少期からよく本を読んだり、文章を書いたりしてきたわけでもありません。ですから、文章の神髄をマスターしているわけではありません。

 

しかし、大学を卒業して、新聞社に入り、上司にぼろかすに怒られながらも、夜な夜な何度も書き直し、計2500本以上の記事を世に放ってきました。そして、転職をした現在も、毎年100ページ以上のビジネス本を複数冊、編集しています。そういったなかで、「文章って何?」ということに日々向き合ってきました。

 

文章には、細かいテクニックがいろいろとあるのですが、まずは文章を書く前に心得ておくべきことがあるように思います。

 

◆文章を書くための心得5か条◆

何かの理論に基づいているわけではなく、あくまでも実践ベースの持論ですが、ヘタクソながら、文章上達の過程で感じた心得5か条を示したいと思います。

 

その1:文章は情報を削る作業であること

 文章はゼロから埋めていく作業ではありません。もともと書くための情報を大量に蓄え、それをうまく再構築する作業です。例えば、新聞記事は取材によって情報を蓄えますが、そのうち記事になるのは、内容にもよりますが、持っている情報のうち大体2~3割でしょう。

 砂金すくいのごとく、狙いを定めてざっと情報を集め、ふるいをかける。そして、珠玉の情報だけを抽出して固める。基本的に雑味はいりません。純度が高ければ高いほど、質が高くなるわけです。良い文章を書くためには、まずは質の高い情報をたくさん集めることから始めなければなりません。

 

その2:宛先と目的を明確にすること

 最近、「プレスリリースの内容を見てほしい」という依頼を受けることがありますが、私は真っ先に「誰にどういうメッセージを届けたいのか」と尋ねます。というのは、文章の宛先と目的によって、書き方が変わるからです。上司に話す時と幼稚園児に話す時は、言葉遣いも内容も異なるでしょう。文章も同様です。極端に言えばそういうことだと思います。

 何となく大勢の人に伝える文章は、それだけふわっとした文章になります。書く前にはなるべく、どういう人を対象とするのか頭で思い描いてみることが重要です。文章を書くという作業は、自分の知識をひけらかすものではなく、読み手のレベルの水準に合わせてうまく言葉を選ぶという思いやりを届ける作業です。

 

その3:謙虚であること

 独りよがりな文章は相手の心に届かないことが多いです。文章は書き手のメッセージなので、基本的には読み手に共感や発見を求めていると思います。「俺はすごいんだ」「この意味、君は当然わかるよね」というような思いがにじみ出ているような文章は、読んでいる方からするとすごくしんどくなります。あくまでも謙虚な心で書く方が、読者は受け止めやすいです。

 細かいテクニックに入るかもしれませんが、文章は若干、自分を「ヘタレ」に描く方が伝わります。例えば、「僕は、他の追随を許さず、無敗で優勝した」と書くよりも、「僕は、毎日監督に怒られながら、練習に明け暮れた。その結果、なんとか負けずに優勝できた」と書く方が相手の共感を生む。他人と仲良くなるために、自己開示するときのステップに似ていますよね。

 

その4:感動すること

 私は、実はこれが良い文章を書くために一番必要なことだと思っています。書き手が面白いと思っていない文章は、読んだ人も面白くない。どんなに体裁が整った文章であっても、著者が思いを乗せていない文章では、人の心は動きません。

 昔、よく記者同士で飲んでいた時、自分たちが書いた記事について語り合うことがありました。ジョッキを片手に、「あの記事で一番伝えたかったのは、この1行なんだよ」とか、「あの一言で記事が締まったな」などと、酒の肴に振り返ることが多かったです。

 感動したり、驚いたり、ときには怒ったり……。たとえ論理的かつ客観的な文章が求められていたとしても、書き手の感性を文章のどこかに潜めておく必要があるように思います。あくまでも冷静に。やはり、文章は書き手の何かしらのメッセージなのです。

 

その5:いつでもどこでも書くこと

 落ち着いた場所で誰にも邪魔されずにゆっくり書ける場所じゃないと、文章は書けないというのは誤解です。今もこの文章を満員電車の中で、おじさんたちに挟まれながら書いています。確かに、多くの資料を広げてじっくりと言葉を編んでいくような論文やレポートは、ある程度広いスペースが必要かもしれません。そういった環境的な事情があるにせよ、精神まで環境に頼ってはいけません。

 速報性が求められるようなニュースの記事は主にどういうところで書かれているか知っていますか。裁判所や役所の廊下、泥まみれの災害現場、移動中のタクシーの中――――。電波が届く場所ならどこでも、集中して書く。人は、気持ち次第でそれができるのです。

 

                  ◆

 今回は、文章を書くためのマインドセットについて、自分なりにまとめてみました。先生や上司に、お前偉そうに書いてるのに、できてねーじゃねーか!と怒られそうですが(笑)。すいません、頑張ります(汗)。

 今でも、日々、唯一絶対の答えがない文章と向き合い、悩み続けています。まだまだ、うまく書ける文章の種類は少ないですし、語彙力も高くありません。さらなる熟達を目指し、精進していきます。また、新しい発見があったときは、ここに記したいと思います。

 

それではお元気で。