ジャーナリズム×人材育成

「良い記事が書ける能力とは」。記者の人材開発について研究しています。

間違った情報で文章を書かないために気をつけるべき5つのこと

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技術の進展とともに、年々、情報発信が身近なものとなっています。ネット空間を中心に玉石混交の情報が渦巻いているなかで、最近、DeNAの運営していたサイトなどで、誤りのある記事による情報発信が問題となりました。デジタル情報が溢れかえっていますが、その言説空間の中で、質の悪い情報を指摘するといった自浄作用が働き始めています。大変興味深い現象ですね。

 

そもそも、正しい記事というのは、どのようなものなのでしょうか。究極、突き詰めると、誰かの手によって書かれた記事は、その人によって情報が引き出され、その人の目線によって書かれたという観点からいえば、偏りがないわけではないし、何を持って正しいといえるのかも厳密にはわかりにくいものです。

 

しかし、少なくとも明らかに間違ったことを書かないようにすることは可能だと思います。 今回は、間違った情報で文章を書かないために、信頼性のある情報を集めるためには、どのようにしたらよいのかを整理したいと思います。

 

 

■信頼性が高い情報を集めるための方法

ここでは、信頼性が高い情報を集めるために気をつけるべき点を5つ述べたいと思います。

 

1.情報はまず疑ってかかる

情報と向き合う心構えとして、すべての情報に疑ってかかることが大切です。収集する情報がすべて正しいという前提でいると、当然ですが、間違いやすくなります。体裁が綺麗に整っていると、正しい情報だと思いがちです。しかし、まずは「本当にそうなのか」と、いじわるに考えることが必要だと思います。例えば、その情報は何に基づいて発信されているのか、どういう立場の人が何を意図して発信している情報なのか、を吟味することが求められます。

 

このとき、自らの常識的な感覚も大切です。極端な例ですが、「2日で50ヶ国を旅した」という情報があったとすれば、あり得ないと思うのが普通です。そうした感覚を常に持っておくことが必要かと思います。

 

2.自分の目で確かめる

もし可能なら、自分で実際に見に行ったり、やってみたりすることです。百聞は一見にしかずで、はじめから二次情報に頼らず、自分の足を使って現場を確かめれば、間違うことは極端に減ります。

 

ジャーナリズムの世界で、現場に行くことが重視されるのは、速報することや写真や映像を押さえること以外に正確な情報を知る目的もあります。ちなみに現場を見てきたままに書く記事は、「雑感」や「ルポ」といいます。

 

3.当事者や目撃者から情報を得る

自分の目で確かめることができない場合、まずは当事者や目撃者の話を聞くことに努めるべきです。会社の話であれば広報や役職者、人についての話であればその本人にアクセスすることが重要です。事件やイベントなどについて書く場合は、実際にそれを見た人に話を聞くことも大切です。

 

ジャーナリズムの世界では、ほとんどの記事で当事者への確認は行われています。さらに、発表されていないテーマで大きな影響があるような事案であればあるほど、できるだけ複数人から情報を取ることが求められます。例えば、組織の不祥事のような話の場合「何本の筋から同じ情報がとれたか」が問われます。

 

4.確度の高い情報を活用する

自分の目で確かめる現場もない、当事者へも確認できない場合、確からしいと思われる情報を使います。例えば以下のようなものが挙げられます。

 

①政府・自治体の情報
②公的文書(有価証券報告書、登記など)
③プレスリリース
④信頼性のある出版社から出た著作
⑤査読された論文
⑥新聞

 

ただし、これらの情報はすべてどこまで信頼できるのか吟味する必要があり、特に④〜⑥は、慎重に活用すべきです。このような制約下で、信頼性を担保したうえで、質の高い文章を書こうと思えば、確からしいと思われる情報源を豊富に持っていることが重要です。例えば、新聞記者は登記情報をよく活用します。土地や建物、法人の役員などから、どういう組織や人物がかかわっているのか一目瞭然だからです。しかし、まず登記という情報源を知らなければ、そういった情報は得られません。正確な情報のありかを知ることが、文章に幅を持たせることにつながります。

 

ちなみに、新聞は時々間違っていることもありますが、当事者から得た情報で書かれていることが大半ですので活用されることが少なくありません。さらに新聞社には誤報に対して厳しい風土があり、訂正を出した場合は顛末書を書かされるほど正確性に気を使っています。

 

5.引用を明示する

引用は、読者に情報の信頼性の判断を一定委ねる手法であるといえます。「◯◯によると〜」、「といわれている(◯◯参照)」などという表記をして、読み手がその情報を確認できるようにしておきます。これは文章の内容について攻撃されることがあった場合、自らの身を守ることにもつながります。

 

しかし、引用元をコピペしてはいけません。著作権法に反するので、あくまでも引用した情報を自分なりに解釈して、自らの文章を主軸として活用することが必要です。また、引用する情報の妥当性について十分吟味した上で使用せねばなりません。

 

 

■心配性であることが文章には大事!?

このように見ていくと、正確な情報で文章を書くには一定のコストがかかることがわかります。“落ちている情報”を拾い集めるだけでは、成り立たない部分も多いです。書き手が積極的に信頼性の高い情報を引き出していかなければなりません。

 

パーソナリティの特性論で、ビッグファイブと呼ばれるものがあります。リーダーや起業家らが、5つの因子(神経症傾向・外向性・開放性・誠実性・協調性)にどのような傾向があるのかという研究は少なからず行われています。

 

単なる主観的な感覚ですが、正確な情報に基づいて文章が書ける人は、神経症傾向が高いのではないかなと思っています。つまり、心配性な人ほど、きちっと文章を書いているのではないかなと。

 

慎重になりすぎるのは、よくありませんが、情報を発信するときに、読者の顔を思い浮かべながら、常に「大丈夫かな」と考えることは重要だと思います。記事の作成は思いやりを届ける作業。僕はそう思います。

 

それではお元気で。