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人材育成の観点から「経営」「教育」「メディア」について考えます。

2020年回顧

怒涛の2020年が終わります。年初は目標を詳細に設定してうまく相乗効果を高めながら取り組もうと思っていましたが、不測の事態に完全にバランスを崩した1年でした。しかし、それは環境への適応と新たな挑戦に否応なく迫られた時の自分振る舞いを改めて見つめ直せた一年でもありました。

 

年初は、研究、学生教育、成人教育を3つの柱として掲げて取り組もうとしていましたが、思った以上にバランスよく成果が残せませんでした。しかし、それでもそれぞれ次につながる一手は打てたのではないかと思っています。

 

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順に見ていきたいと思います。

 

1:学会発表に3回臨んだ

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・調査報道ニュース生産過程における新聞社編集局員の組織行動に関する研究

・学校管理職を対象とした「働き方改革」推進のための集合研修の開発:サーベイフィードバック型働き方改革の推進

働き方改革の推進に資する校長研修の評価:組織変革アプローチによる労務改善

 

2月、3月、9月に学会発表を行いました。2月はまだコロナの市中感染が広がっておらず、ギリギリ対面で学会の発表会が開催されており、緊張感のある雰囲気で発表ができました。知り合いが増えることが学会に赴くことの良さでもありますね。それ以外はオンラインでの発表でした。これはこれでいつ誰が来るかわからない緊張感がありました。

 

いいフィードバックをもらおうと思うと、どんな研究でも相手に伝わる話し方がとても重要です。研究者からいただける質問は核心的なことも多く、その後の研究の進展に大きな影響を与えてくれることもあります。難しいことを難しいまま話してしまうと、学びが深まらないことがあるので、短時間で相手に伝わる話し方を徹底したいと思いました。

 

今年は情けなくも研究は正直、あまり進めることができませんでした。時間がないことを言い訳にはできませんが、今年は本当に時間がありませんでした。4月からまともに休日が取れた日は2、3日あるかないかという異常な感じでした。

 

2:週6コマのオールオンライン、オールアクティブラーニング授業

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今年はほとんど授業に時間を費やしたと言っても過言ではないです。4月から新しい大学に赴任していきなり前例のないオンライン授業に突入しました。しかも全て学生がグループワークを行う授業でしたので、全員が遠隔でどのように双方向に学ぶか、試行錯誤の日々でした。

 

國學院の授業は上級生が下の学年の授業の運営をする制度があるので、自分がズームを使いこなすだけでなく、上級生もマスターしてもらう必要がありました。猛烈に働きましたが、学生も猛烈に頑張ってくれました。ほぼノーミスで、しかも、どのクラスも1年生が脱落することなく無事、年末を迎えられたことは実は結構すごいことなんじゃないかと今改めて実感しています。オンラインは様々な可能性があり、今後もさらに進化し、教育の世界に組み込まれていくことは間違いないでしょう。

 

ただオンライン授業を始めて最初の3ヶ月くらいは本当にしんどかったです。外出せずにずっとパソコンの前にいて、次々とミーティング、ミーティング、授業、授業、ミーティング……。それが延々と続く。合間を見つけてはベランダでラジオ体操していました。3ヶ月が過ぎると、そう言った日々にすっかり適応していて、学生もクラウドツールも使いこなせるようになり、不便さを感じなくなりました。むしろ外出するのが億劫になってくる感覚を覚えました。人間はよくできているもんです。

 

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後期はプロジェクトをガシガシに回しました。500人規模のプレゼン大会のイベントの設計を考案して、ハイブリッドと完全オンラインを両にらみで学生と準備を進めました。日本でもここまでの規模で実施している大学はまだそんなにないように思います。ここまでのものを運営すると、オンラインに対する怖さはもうなくなりました。

 

新しく着任して「基礎演習A,B」「経営特別演習」「ビジネスデザイン」「リーダーシップ基礎」「ビジネスゲーム」を開講し、非常勤でも「日本研究(政治・社会)」をマイナーチェンジをしながら、週計300枚くらいのスライドを作り続けました。パソコン越しの受講生に思いを馳せながら話し続けました。

 

社会人1年目もそうでしたが、知識や経験があまりない時はひたすらにハードワークをして一気にスキルを一人前のレベルに持っていく。今年は話す力とそのためのスライド作成の力がものすごく身に付きました。そうすると翌年から初歩的なストレスがなくなるので、さまざまな工夫ができるようになっていきます。来年はさらにパワーアップしようと思います。

 

そして何よりも大きな気づきは、私は教育に携わることが心から楽しいと感じたことです。今の若者は「日本の宝」です。未来の日本を担う若者の成長に携われるのは何よりもやりがいを感じることです。

 

3:ジャーナリスト育成事業の設立

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2020年11月、現役の若手ジャーナリストと市民を対象に調査報道のノウハウを学ぶオンライン講座の事業を立ち上げました。元朝日新聞特別報道部でワセダクロニクル編集長の渡辺周さんと2年ほどかけて企画を練りこんできたものです。最初は老舗の出版社に話を持ち込み企画を進めていましたが、余すことなく自分の口からスキルを伝授しようということになり、事業化を進めてきました。

 

これまでジャーナリストの人材育成の研究をしてきて、実践の場をつくることは長年の目標でした。まだまだ緒についたばかりで小さな取り組みではありますが、それでもほとんど告知をしていないにも関わらず、一気に募集定員に達するほどニーズがあることもわかりました。海外のメディアとの連携を模索し、すでに接触を試みています。

 

ジャーナリストも「一匹狼」の時代から進化し、学び合う文化を築き、世界に開かれた知見を共有するコミュニティを作っていくべきです。そのための一助となりたいと思っています。

 

 

◆◆◆

怒涛の2020年回顧をかいつまんで書きました。1、2、3の取り組みは全く異なったもののように見えてそれぞれのスキルが大いに生きました。30歳になってからはひたすらにやることが拡散されてきてパンクしがちなことが多かったのですが、徐々にやりたいことが絞られてきて目指す方向が明確になりつつあります。

 

来年はまたもや勝負の年。しかし、いつも決まっています。実行あるのみです。失敗しても敗北を喫しようとも、また立ち上がり走り続ける。それしかありません。

 

思い返せば、いろいろやってきたなぁと思います。多くの人に支えられてなんとか予期もしない災禍を乗り切ることができました。まだまだ大変な日々が続きそうですが、連帯して前を向いて歩を進めていけたらと思います。

 

今年1年、大変お世話になりました。良いお年をお迎えください。来年もどうぞよろしくお願いいたします!